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趣味の話をしてます

華氏451度

華氏451
レイ・ブラッドベリ
ハヤカワ文庫

 

有名SF作家レイ・ブラッドベリの代表作。
本が禁止されている世界で焚書官として仕事する主人公モンターグの物語です。
この物語での世界では本は忌むべきものとされて見つけ次第焚書官が燃やしに行きます。人々は本を読まず、超小型ラジオや大画面テレビを楽しんでいます。主人公である焚書官モンターグは自分の仕事に満足していました。ですが、ある日隣の家に引っ越してきた少女クラリスと話してから、自分の人生や世界にに疑問を持ち始め、彼の人生は大きく変わっていくことになります。

 

まず最初に言うと、とても面白かったです。
一日で読みきってしまいました。
前回は2週間かけて読んでいたのに(笑)

華氏451度というのは紙が自然発火し始める温度だそうです。記号で表すと451°Fで摂氏だと約223℃です。
洒落たタイトルでとてもかっこいいです。実際図書館で見つけたとき、タイトルに惹かれて手に取りました。もちろんあらすじを読んでから借りることを決意しましたが。

 

中身についてですが、SFと言っていますが、ほとんど現代社会と変わらないと言って差し支えないと思います。これが1953年に発売されていたことが驚きです。まるで21世紀。
この物語の世界では、本は禁止されていて、見つけ次第焚書し逮捕します。人々は耳に小型ラジオ「海の貝」を入れて一日中何かしらを聞き、暇なときは壁一面のテレビを楽しんでいます(主人公の妻は壁の4面全てをテレビにしたい)。なぜそんな世の中になったのかは本書で主人公の上司のビーティがわかりやすく説明してます。
現代社会では、本が禁止されてはいませんが、本を読む人は圧倒的に減っていて、雑誌は次々に廃刊に追い込まれています。人々は耳にイヤホンを入れて音楽を楽しみ、暇になったらテレビを観ています。一緒ですね。
かくいうわたしもついこの前までそういう側の人間だったなと思います。
幼稚園の頃に読者に目覚め中学卒業までは週5冊くらい読んでいましたが、高校に入ってから全く読まなくなりました。大学になってからは読まないどころか読めなくなり、漫画と音楽とスマホで時間を消費していました。
それまでも漫画も音楽も大好きでしたが、ちゃんと本も読んでいました。たぶん原因は携帯だと思われます。
意を決してこちら側の世界に戻ってきました。ただいま。

 

この本を読みながら、わたしはある2人の友人のことを思い出していました。
彼女たちは本を全く読まないのです。本どころか漫画も読まないのです。
Tさん「漫画を1冊も読んだことがない。ドラマや映画で十分」
Sさん「漫画も本も読まない。ゲームしたい。秋葉原行きたい」
自分「」
まあTさんもSさんも状況によっては本を読んだりすることはありますけど、皆無と言っていいほど読まないです。
一応言っておきますがTさんもSさんもとても愉快な方々でわたしは好きです。
ただ、Tさんは国語がとても苦手だと言ってました。また、Sさんは自主的に勉強することはあまりありません。といってもSさんに関してはのびのびと自分の好きなことに邁進するのが一番いい気もします。
そのほかにも、本も漫画も読まないだろう友人はたくさんいます。友人に限らず、こんな人は世間一般にはたくさんいると思います。現にわたし自身もあれだけ愛していた読書の世界から最近までサヨナラしていたので。
この本に出てくる人々は上に書いたように、本を読まずにラジオやテレビを楽しんでいます。そのような人々は、数日前の出来事すらも曖昧にしか記憶できなくなっているのです。自分が幸せだとか、昔の世の中がどうだったとか、そういうことを考えないのです。
え、わたしの友人たちもそうなっちゃうの?とわたしは少し不安になりました。まあ本と現実は違うので友人たちがそうなるとは思えないのですが。
でも、友人たちだけにとどまらず、世界中の人々がこのようになってしまったらどうなるのだろう…と思うと背筋がゾワッとするものがあります。

 

話は変わりますが、高校時代に古典の先生からこんな話を聞いたことがあります。
GHQの最高司令官マッカーサーの父は在日米国大使で、マッカーサー自身も一時期日本に住んでたことがありました。戦後マッカーサーは当時の首相の吉田茂に「日清日露の日本の将軍は"将星"だった。だが第二次大戦のときの将軍は彼らとは違った。それはなぜだ?」と聞きました。
吉田茂はそれに答えられなくて、他の人に相談しました。そしたら当時の文部省大臣の近衛文麿が「それは日清日露の頃の将軍は古典を学び、古典を心に刻んでいたからです」と答えました。
吉田茂マッカーサーにそれを伝えるとマッカーサーは大いに納得したそうです。
うろ覚えですが、こんな話でした。
本を読む読まないで将軍がこのように評価されていたのなら、現代社会はどうなってしまうのでしょう。
第二次大戦のときの将軍たちよりはるかに本を読んでいないのは明らかです。
文明も進んで、より快適に安全に健康に人生を送れるようになりましたが、今戦争が起きたら日本はどうなるのでしょうか。
日中韓の関係が悪くなっており、米国の力も弱まり、中国が台頭してきて、イスラム国の存在が強くなってきていている現代社会で、日本で戦争が起きないとは言い切れないでしょう。
技術は進歩したので、そう簡単には負けないと思います。
でも、人為的なミスで負けることは大いにありえると思います。
また、読書不足は世界でも問題になっています。
華氏451度」の中でも戦争が起きましたが、このような世界情勢のなかで本を読んでない人々が急増している今、第三次世界大戦は他人事ではないと思います。

 

華氏451度」の中で、「本は物事の本質を教えてくれる」と書いてありました。
なにも考えずに受け取るだけだったら、月は月でゼロはゼロで愛は愛で諍いは諍いで人は人なだけです。
でも、当たり前のことを考え直すと、月は月以上の意味を持っていることがわかると思います。
月という言葉、漢字、英語だとmoon、地球の衛星であり、満ち欠けがある。女性の象徴であり、神道では月読命でありギリシア神話ではセレネーである。
月というものを検討するだけで、これほど世界が広がります。
それが愛や諍いや人など抽象的なものになったら、どれほど意味の幅が広がるか。意味の幅が広がったら、そこにある共通項などで愛や人の本質が見えてくるでしょう。
読書はそれの橋渡しをしてくれるのだと思います。たくさんの人の考えを知ることができ、それを自分の体験で検討することができます。文字の羅列だけで、登場人物の表情や彼らの住む町並みなどを想像するのはなかなかしんどいですが、読者の数だけイメージがあり、それを比べてみたり絵などで具現化するのもなかなか面白いと思います。
漫画だとどうしても想像の幅が狭まって、声優を誰にするかとかくらいしか想像できなくなってしまいますね。それでも想像の余地はあるのですが。
ともかく、本は想像力と思考力をたくましくすることができるのです。

 

支離滅裂なことを長々と書いてしまいましたが、結論を言うと、ハリウッド映画化希望。そしてみんな影響されて本を読み始めればいいんだ。
まあ一度フランス人監督がイギリスで映画化したらしいんですけどね〜